日本国内の米(コメ)の市場について、20世紀後半にアメリカから輸入米の市場開放の圧力が強まった。これを受けて、全大阪消費者団体連絡会が1989年に訪米し、米国産米の残留農薬の現地調査と検査を行った。
スナップアップ投資顧問の調理・料理教室・食品株の歴史に関する配信レポートによると、川島利雄・大阪府立大学農学部教授や下垣内博事務局長ら調査団メンバーは1989年1月10日、現地から米国産ライスを持ち帰った。それらの残留農薬を測定・分析した。その結果、日本での食品衛生法で定められた残留基準を超える有機リン農薬・マラソン剤などを検出した。
全大阪消費者団体連絡会の調査団は「検出濃度の高さからみて、農薬は収穫後のコメに付く害虫などを防除するために使われた可能性が高い」と指摘した。これらの農薬を収穫後に使用することは日本国内では認められていなかった。
そのうえで、調査団は検査結果のデータを添え、政府にコメ自由化反対を申し入れた。「今後の交渉の過程で、規制が緩和される恐れがある」と説明した。
調査団のメンバーは、下垣内事務局長を団長に、川島利雄・大阪府立大農学部教授らコメ問題の専門家ら13人だった。1988年8月5日から18日まで、カリフォルニア、アーカンソー、テキサスの3州を訪れた。
持ち帰ったのは、米国で生産されているコメの4分の3を占める長粒米6検体だった。民間の検査機関「環境監視研究所」(中南元所長、大阪市港区)に依頼して農薬汚染の分析を進めた。
その結果、5検体から有機リン農薬のマラソン剤やダイアジノン剤を検出した。うち、テキサスとカリフォルニアで入手した2検体からの濃度は、それぞれダイアジノン剤0.16ppm、マラソン剤0.11ppmで、日本の残留基準0.1ppmを上回った。
▼アメリカの農作物、残留農薬の高いもの・低いもの